気まぐれ社長の犬


東京駅に着くと電話が鳴った。



「もしもし。東京駅に着いたわ」


「改札の近くの柱の1番下に、Suicaが貼りつけてある。剥がせ」



電話を繋げたまま柱の根本を探すと、同じ色のテープで貼られたカードを見つけた。


これがSuicaかー電車なんて普段乗らないから初めて見た。



「あったわ」


「じゃあ電光掲示板見てみー?1番早い電車、あと2分後3番線だよね?それに乗れ。乗り遅れたら、人質殺すから」


「なっ2分!?」



私は急いで改札を抜けると3番線に走る。 

階段を駆け下りていると発車のサイレンが鳴った。

ぎりぎりでなんとか扉が閉まる前に乗り込むと他の乗客の目が痛かった。

その時、また犯人からの電話が鳴る。



「乗れたー?」


「はあ…はあ…ええ、もちろん」


「やるねー。じゃあ、盗聴器外して。あと警察と通信できる物全て。今すぐだ。あんたのこと見てるからねー不審な真似したら人質殺すよ?」



周りを見渡しても不審な人物はいない。

だけど見られてるかもしれない…

私は警察との連絡手段の全てを絶たれてしまった。



「取ったら2駅先で降りて。その後地下鉄に乗り換えて、1番線から5駅先に乗り換えて」


「わかったわ」



すぐに電話が切れた。

周りを見渡すと跡をついてきてくれた刑事さんたちはいなくなっていた。


しまった…さっきのは警察をまくために…


少しの不安を抱きながらも私は地下鉄に乗り換える。

ホームに着くとすぐに電車は来た。


全部計算されている…


5駅先で降りるとまた電話が鳴った。