「確かにあのお嬢様…ていうか私以外なら気付かないかもしれないけど、私目がいいの。嘘を吐いていたらすぐにわかるわ」
「は、…目がいいなんてもんじゃねえだろそれ。だからか…だからお前を狙ったスナイパーはみんな目を撃ち抜かれたのか」
男は銃の安全装置を外す。
「先に言っとくけど、私銃弾避けれるから」
「見えると避けられるは違うだろう」
男は銃を私に撃ち、私はそれを左に避けた。
だけど男は分かっていたかのように私にナイフを振り下ろす。
私はなんとか体制を立て直して避けるも腕がスーツだけ切られた。
「…やるじゃない」
「俺は元々こっちの方が得意なんだ。助かるよ」
銃が効かない相手に助かる、だなんてあんたの方が化け物じゃない。
「ふう…じゃあ化け物同士、殺し合うとしましょうか」
私は銃が効かないとわかっている相手が、私に銃を向けたりもうしないだろう。
だから私もナイフを取り出し切りかかる。
ナイフのぶつかる音と空を切る音だけが都会のど真ん中の屋上に響く。
速いな…私と互角に戦うなんてやるじゃない。
だけど、互角ならお互い勝てない。
勝つには…頭を使うしかない。
「どうした、押されてきてるぞ?体力の限界でも来たか」
「チッうるさい口ね。ナイフで切り裂くわよ?」
「出来るものならやってみろ」
私の体はどんどん後ろに追いやられていく。
そしてついに屋上の縁にまで追い詰められた。
「これで終わりだ。死に方は、自分で選べ」
男はナイフを振る。
後ろに避ければ落ちる。
避けなければ死ぬ。
そう、私はこの瞬間を待っていたんだ。

