深い深い森の中、

そこにはその風景に不釣り合いなほど近代的な建物があった。






聖也は、今年35歳になる。

年のわりに髪は薄く、猫背なので、彼は実年齢より幾分、年老いて見られることが多かった。

酷いときは5、60歳と見なされることもあるが、彼が微笑むとその印象は随分と変わるということを彼は統計的に心得ていた。


だから他人から老けてみられるということは特に気にも止めていなかった。



彼に疲労を与え、ここまで老け込ませたのは彼が独自に行っている研究だった。


この深い森で誰にも見つからないようにひっそりと、それは行われる必要があった。



だが聖也は今日、そのストレスからようやく解放された。


15年にも及ぶ長い年月と、彼の底知れぬ努力が身を結んだのだった。





その森に

時空を越える装置が誕生した。