『実は…、女の人に追われてて、ずっと逃げてたんや。それでここに居たら捕まると思って来なかったんや。すまんが、もう少し俺を自由にさせといてくれんか?』
弱気な態度で僕に言ってきた。

今まで来なかったし、来ても何もしなかったので、
『分かりました。今まで通り僕がみんなに練習させときます。時々、道場に電話をして下さい。』
と、真面目に話をした。
『悪いな。落ち着いたらここでバーベキューさせるから宜しくな。』
館長はそう言ってそそくさと、帰って行った。

僕は何かあるとにらみ、練習が終ってみんなと解散した後、一応、道場の電話番号を書いた紙を持って館長の家に行った。

すると、家の中から女の人の怒鳴り声が聞こえてきた!
「あれ?館長は1人暮らしのはず…。」と、不思議に思い、光が漏れてる庭の方にこっそり回った。

どんくさい僕は池があるのを忘れており、池を囲んでる石につまずいてハマってしまった。

その音に気付いた女の人と館長が窓から顔を出した。

2人と僕は目が合い、
『一応、道場の電話番号持ってきました。』と、言ってごまかした。