Yはやっとこの異常事態に気付き、
『うそっ!何やっとんよ!どんくさいなぁ。待ってて!今、ロープ持って来るから。』
そう言って走って何処かに行ってしまった。
『俺って、ほんまにアホやなぁ~。』
と、呟いて10分ぐらい田んぼで待っていると、ロープを持ったYと事情を聞いたのか、Yのお父さんまで来てくれた。
Yのお父さんは僕を見るなり、
『おはよう!この前は怪我したYを部屋まで運んでくれたみたいで…。ありがとうねぇ。君は朝から元気だね!』
と、今はどうでもいい話をしてきた。
僕はYのお父さんを刺激しないように、
『あの~、おじさん。すみませんが、助けてくれませんか?』
と、お願いした。

すると、Yが、
『私のお父さん、ちょっと変わってるねん。気にしないでね!それじゃ、教官!ちゃんと、取ってね!』
と、ロープを僕目掛けて投げてきた。
かなり硬そうなロープが、猛スピードで身動きの出来ない僕の顔に飛んできた。

僕は《真剣白刃取り》のようにロープを受け止めようとした。