Rに説教された翌日。
僕は朝6時に起き、7時にはYの家の近くで彼女が出て来るのを待った。

朝といってもなかなかの暑さだった。

それから、待つ事30分。
ようやく彼女が出てきた。
普通に行っても面白くないと思い、近くの田んぼに飛び込み、彼女を驚かせようとした。
しかし、運悪く、その田んぼには水がひいてあり、それを知らず、とっさに飛び込んだせいで太股までどっぷり泥にハマってしまって身動きが取れなくなってしまった。

周りには道場に向うYしかおらず、仕方なくYに、
『お~い!Yっ!引っ張ってくれ~!』
と、助けを求めた。

Yはその情けない声に気付き、田んぼを覗きこんだ。

この田んぼはアスファルトの道から1メートルぐらい下にあり、その間には草がボウボウに生えてるおよそ、5・60度のキツい坂になっていた。

Yは僕を見付け、
『何してるん?そんな所で遊んでたら怒られるで?』
と、言ってきた。
僕は必死で冷静を装いつつ、
『あのね、Y君。俺が朝っぱらからわざわざここまで来て泥遊びすると思うのかね?…しょうもない事言っとらんと、早く助けてくれ!動けへんのや!』
と、途中で怒鳴ってやった。