その光景を見た瞬間、Yは、
『キャ~!』
と、叫び、山奥へと走って行ってしまった。僕は少しこの虫達が何処に隠れていたのか考えて、同じように、
『キャ~!化け物~!』
と、Yの真似をして彼女を追いかけた。
そうこうしてる間に、日が沈みかけていた。
Yに追い付き、肩をポンと叩くと、
『ウギャ~!イヤー!』
と、言いながら凄い勢いで振り返り、誰かも確認せず、強烈ビンタをしてきた。
“ベチンッ”と、いい音が辺り一面に響き渡った。
『何すんだよ~!痛ぇ~なぁ。鼻血出るかと思ったゎ。』
と、言うとYは正気に戻り、
『あっ!教官っ!ごめんなさい!てっきり熊かと思った。』
と、とんちんかんな事を言ってきた。
『俺はそんなにデカくねぇし、太ってねぇ!そもそも熊だったらとっくに食われてるよ。』
僕がそう言うと、彼女は無言のまま看板を指差した。
そこには、《熊、出没注意!危険!》と、書いてある汚れきった看板がひっそり立っていた。
僕は彼女に、
『熊が出たらさっきの強烈ビンタをお見舞いしたれ!きっと、熊は泣いて帰るぞ!』
と、嫌味を言ってやった。
それから、来た道を帰ろうとした時、身の毛もよだつ事件が起こってしまった。