僕らは合図も待たずにお互いを攻撃し合った。
館長は二人の性格を熟知していた為、口を出さず殴り合いの喧嘩みたいな試合をジッと見つめていただけだった。

僕らは攻撃を受け流そうとせず、ひたすら相手を叩きのめす事だけに集中していた。
Kのパンチがお腹に当たると同時に僕のハイキックが奴の顔面を攻撃する。
僕のミドルキックが横腹に当るとKのハイキックが顔面にヒットする。

こんなやり取りが小一時間続き、いつの間にか我慢大会になっていた。
二人とも目尻を腫らし、Kは鼻血を僕は唇から出血していた。
覚醒はそう長くは保たない。
次第に疲れを感じてきていた。
「もうそろそろ限界だ…。」
不意にそう思い残り少ない力をふり絞り、最後の手段にでた。
12個の中で一番防ぎにくく攻撃力が極めて高い究極奥義。
その名も《後方踵蹴り》。

※踵=かかと。