何回か咳払いをしながら起き上がると少量の血を吐いた。
さすがの館長も、
『おい!大丈夫か?…もう、いい。終了や。』
と、言って何故か残念そうにパイプ椅子に腰を下ろした。
納得がいかない僕は、
『待ってくれ!試合はこれからや。アイツに勝たなきゃ意味ねぇんだよぉ!かかってこいよK。今日こそどっちが強いかハッキリさせようぜ!』
と、Kを挑発した。
覚醒しているKには挑発自体タブーなのだ。
コイツが本気で怒ると全ての数値が一気に跳ね上がり、手が付けられないほど凶暴化するのだ。
だが、全ての数値の中にバカの数値も含まれている。
猪の様に小回りが出来ず、一度避けれれば勝目は十分にある。

必ず勝ってやると気持ちを高ぶらせ手の平の血を見た。
その瞬間、やられた感が怒りを解き放ち再び覚醒状態になった。

道場内は静まり返り、口を開く者は誰もいなかった。