一週間ぐらいたったある日、携帯に館長から電話があった。
『はい。』
無愛想に出ると、
『喜べ!お前の無実は証明されたんや。あの幹部達はクビや!みんなもお前の復帰を待っとるから今まで通り来て教えてやってくれんか?頼りにしとるぞ。』
嬉しそうにそう言うと、返事も聞かず電話を切ってしまった。

僕は次の日からまた、道場に通う事になった。

次の日、道場の前まで来るとまだ一週間しか経ってないのに懐かしい感じがした。
中に入るとみんなが準備運動を中断し、
『教官っ!』
と、叫びながら走りより、飛び付いてきた。
体当たりなのか抱き付いてるのか分からない勢いだったので、ガリの僕は耐えきれず後ろに倒れた。
その拍子(ひょうし)に入口の扉で頭を打った。
笑い声と共に誰かが僕の頭をなでてくれてる。
乗っかっていた後輩達を振り落とし、笑いながら振り返って、
『ありがとう。』
と、礼をして顔を確認した。
入口で両膝を立てて笑っている館長がいた。
『おかえり。済まなかったな。』
今までに聞いた事がないような優しい声でそう言ってきた。
僕は慌てて正座し、
『ただいま戻りました。』
と、かしこまった返事を返した。