そんなこんなで初めての夜間練習の日がやってきた。

夜、8時。
道場に着くと、みんなが真剣な面持(おももち)で円になって座っていた。
下駄箱で僕が円に加わろうか悩んで立っていると、
『まいど~!』
脳天をかき混ぜられたような声が後ろから無神経に道場内に響き渡った。
僕は、
『…空気を読めっ!』
と、荷物を下ろし、素早くHのお腹にパンチを当てた。
『う゛っ…。』
空気を読めない無神経な男はお腹を押さえながら静かにしゃがみ込んだ。
円になっていた女の子9人と男5人がこっちに気付き、走ってきた。
『もう、大丈夫。戻って話合っててくれ。コイツは俺が散歩に連れて行くから。』
と、言ってHを連れだそうとした。
その時、
『教官!Sちゃんが変なおっさんにからまれてるねん!この近くで。』
と、泣きそうになってるRが言ってきた。