すると、おっちゃんはこっちに気付き、走ってきたのが見えた。『良かった』と安心すると、何も分からないまま意識を失った。
僕が目を覚ました時はまだ、意識が朦朧としていたが日が沈みかけていたのが分かった。徐々に意識がハッキリしてきたのでゆっくりと起き上がり、おっちゃんに『ありがと』と、礼を言って帰ろうとした時、おっちゃんが『強くなりたいか?』と、突然聞いてきた。僕はとっさに『強くなりたい!』
と力強く答えた。するとおっちゃんがニコッと笑い『明日の朝7時にここに来なさい』と言ってきた。僕は何も言わず考えながら帰った。
次の朝、おっちゃんに言われた通り7時に河原にきた。すると、おっちゃんがタイミングよく現れ、来るやいなや『付いてきなさい』と言って河原から10分ぐらい歩いた所にある山に入って行った。そこには道という道はなく、草木をかきわけてどんどん山奥へ入って行った。
12時を過ぎようとした時、山の中腹に広い平地があり、そこに××我流道場と書かれた看板をぶら下げてある家があった。中に連れて行かれると、15人くらいの人が空手の練習をしていた。
今まで黙っていたおっちゃんが『今日からお前もここの生徒だ』と、言ってくれた。