!戦いで人は成長する!

後ろを確認し終わると、前へ進んだ。
平野の中央に焚き火の跡があり、終わりには6~7メートルある小さめのダムになっていた。

僕はリュックの中に手を入れ、携帯で時間を確認した。
この時、すでに深夜3時を過ぎていた。
僕は焦っていたが、下手に動くより朝になるのを待つ方が利口だと思い、リュックの中からライターを取り出して焚き火跡に火をつけようと考えた。
しかし、リュックの中にライターは無かった。
慌ててリュックの口を全開に開き、ひっくり返して持ち物を確認した。
財布・鍵・携帯・軍手1ペアはあったが、ライターと懐中電灯と軍手4ペアは無くなっていた。
『あのクソジジイ!』
犯人はすぐに分かった。

きっとアイツは山で生活しているから金や携帯に興味が無かったのだろう。

それにしても寒さを防ぐ手段は軍手をはめる事ただ一つだった。

僕は軍手をはめ終わると、風の当たらない場所を探し歩いた。
時々、携帯で時間を確認しながら草をかき分け、霜が降りて湿った土の坂を登って少しづつ頂上を目指した。