!戦いで人は成長する!

必死で枝によじ登るり、犬との距離を見た。
先頭の犬との距離、約2メートル。
次が最後のチャンスだった。
目を閉じて深呼吸をし、一気に崖へ飛び掛かった。
少し助走が足りなく、上半身だけ崖に引っ掛かり、下半身は崖の側面にぶつかった。
『負けるかぁぁぁ!』
雄叫びを上げて渾身(こんしん)の力を振り絞ってなんとか崖を登る事が出来た。
呼吸を整えながら犬に目をやると、太い枝の根元で止まって唸り声を上げていた。
『ざまぁみろ!お前らに負けてたまるか!』
助かった事が相当嬉しくてハイテンションで犬を挑発した。
無駄な事をし終わり、荷物の所まで走った。
思った以上に遠く、ヘトヘトになりながら荷物が見える場所に到着した。
『帰れるぅ。』
身を持って自然の恐ろしさを知った僕は、荷物を見つめながらゆっくり歩いた。
すると、荷物の前で岩みたいなモノが動いている。
視力の悪い目を凝らすと、岩ではなく、人だった。