！戦いで人は成長する！

気付くのが遅かった事を想像するとグロテスクな映像が頭に浮かび鳥肌がたった。
プルプルと震えると、下にいた野犬達が見上げて吠えてきた。

山なのに近所迷惑と思った僕は、
『うるせぇ！』
と、言いながら太い枝に立って周りの細い枝を折って投げ付けた。
だが、球技音痴だった為、投げても投げても当たらなかった。
野犬の１匹が小さい脳ミソをフル回転させ、木を登り始めた。

確かに犬でも登れるほど穴やコブが多数ある。
１匹が登ると他の４匹も続いて登ってきた。
窮地に立たされた僕はいちかばちか崖に飛び移る事にした。
犬との距離は約３メートルある。
膝を軽く曲げ両足で太い枝を蹴ろうとしたが、左足を滑らせ股間を太い枝に打ち付けてしまった。
痛みを堪えてナマケモノという動物の様に落ちないよう枝にしがみついて落下を防いだ。
『やべぇ～、死ぬかと思った。』
焦りは禁物の言葉が頭を過ぎった。