相手はお腹を押さえ両膝を着きながら激しく咳込んだ。
目からは涙がこぼれ落ちた。
審判は、
『それまで!』
と、言いながら片手を真直ぐ上に伸ばした。
ギャラリー達は拍手をしてくれた。

相手が動けるようになるまで待ち、お互い一礼して閉会式に臨んだ。
閉会式が終わると表彰状は館長に取り上げられた。

『飾ってやる。』
ただそれだけを言い残して去っていった。

僕らは怪我した仲間に肩を貸したりしながらゆっくり道場に戻った。

こうして辛く厳しい試合は幕を閉じた。