！戦いで人は成長する！

相手側の人を馬鹿にしたような笑い声に腹を立てたせいか、場外に飛ばされたのはなんとも思わなくなっていた。
畳に戻ると、相手は挑発まじりのあくびを大きく口を開けてつまんなそうにしている。

僕は一番得意な構えをして相手に、
『そんなに退屈か。今からたっぷり楽しませてやるぜ！』
と、戦意をみせてからすぐに相手の左に移動して二つの拳で肩・ひじ・脇腹・筋肉や関節の間を容赦なく何十発も打ち込んだ。
相手はまた顔を両腕でガードしていたが、限界になったのか僕のお腹や顔を左手で殴ってきた。
しかし、殴ると体が僕と平行になる為、頬(ほほ)や目尻に拳が当たる。
相手はそれを嫌がって後ろへ大きく下がり間合いをとった。
僕は逃がすまいと左足で畳を踏み込みその反動を利用して相手と畳を交互に蹴り、相手に反撃するスキを与えなかった。
何分かたった時、ようやく相手は腕をだらんと垂らした。
パッと下がった腕に目をやるとソフトボールぐらいの腫物(はれもの)が出来ており、その周りは紫色と黄色が混じった色をしていた。
肩やひじは内出血をしていて赤紫色になってあちこち赤のつぶつぶが浮かんでいた。