！戦いで人は成長する！

三人目は二人目と対照的で背は低く、肥満と言える体格だった。
相手側の中では優しそうな顔立ちをしている…と、思いきや畳に上がると獲物を見つけたかの様にこっちを睨み続けている。
僕はあえて目をふせた。
そして、試合が始まった。
いきなりかかってくると予想していつでもカウンターを狙えるように姿勢を低く構えた。
だが、相手はジッと構えたままで一歩も動こうとしない。
「またカウンター狙いか。」
心の中で愚痴をこぼしながら近付き、カウンターをツバメ返しで攻撃しやすい様にオトリハイキックをしようとした。
その時、相手は両腕で顔を隠した。
『何っ！！』
僕はオトリのハイキックでまんまと相手の術中にハマってしまった。
相手は顔を隠している右腕で僕の左足をすくうと勢いよく突進してきた。
相手はスピードで勝てない分、大きな体を上手く使い自分の欠点を補って(おぎなって)攻撃してきたのだ。
こっちは相手の二分の一ぐらいの体重しかなく、畳の外の壁まで飛ばされ、映画や漫画でよくみる壁に背中を強打するシーンの様にぶつかり硬い床に落ちた。
相手側の笑い声が心に突き刺さった。

理性を破壊された感覚が全身に染み渡り、怒りが頂点に達した。