!戦いで人は成長する!

『次、前へ!』
審判の声がすると、態度だけデカいひょろ長い奴が畳に上がった。
僕がジッと注視していると、相手が親指を突き出し片目をつむって目をえぐる動作をしてきた。
「どこまで侮辱したら気が済むんや!」
と、思いつつ、戦闘態勢にはいった。
審判から合図が出された。
相手はジワジワ近付いてきている。
僕は一瞬で※「左構え」から「右構え」に変え、ハイキックでこめかみを狙った。
だが、相手の反応が早く足を払われてしまい、体勢を崩してしまった。
相手はストレートパンチで僕の脇腹をかすった。
それなりの痛みがはしったが命中率が低かった為、ダメージは少しですんだ。
相手を突き放し、再び構えるといきなり跳び膝蹴りを顔にむけて繰り出してきた。

僕はわずかなスキを逃がさず、左に避けたと同時に右手で相手のお腹に拳を突き刺し力一杯畳に叩き付けた。

相手はもがきながらうずくまっている。

それをみた審判が、
『それまで!』
と、声を上げた。
二人目は呆気なく終わった。

※左構え…左肩と左足を前に出した半身の体勢の事。右構えはその逆。