!戦いで人は成長する!

『まだ一人目なのに…。』
そう思いながら、呼吸を整えると再び左膝を上げてハイキックをする動作をした。
相手はムッとした表情を浮かべながら今度はスピードは多少おちるが、威力倍増の重い前蹴りをしてきた。
僕は相手が前蹴りの構えをすると同時に上げた膝を下ろし、体勢を立て直しもせずに相手が足を伸ばすまでわざとスキを作ってみせた。
予想通りスキを突くように足を伸ばしてきたが、僕は右足を自分の斜め左前に出し、相手の攻撃をかわすと、右足を軸にしながら遠心力を利用して振り向くように勢いよく左足を出し、相手の顔面へヒットさせた。
怒りもこもっていたせいか、いつもより強力に当たったのがかかとから全身に伝わってきた。
会心の一撃をくらった相手は気絶して畳に打ち付けられた。

相手側の控え選手が僕を見ながら舌打ちをして倒れた相手を運んで行ったのだが、わざわざこっちを向いて舌打ちをする必要はどこにも無いと思うと、余計腹が立った。
「そっちがそんな態度をとるなら本気で相手してやる!」
と、闘争心をむき出して次の相手を待った。