試合当日。
朝、6時に集合してみんなで試合会場に向かった。
会場に着き、中に入ってみると、空手の道着を着てる者やムエタイの格好をした者やブルース・リーみたいなスタイルの者など、いろんな格好の選手がウォーミングアップをしていた。
この異様な空気に圧倒された僕たちは入口から動けないでいた。
すると、後ろから、
『どけっ!邪魔だ。』
と、怒鳴られ、何故か僕だけいきなり突き飛ばされた。
僕は、
『何するんじゃい!』
と、喧嘩腰に言いながら振り返ると、ムキムキのボブ・サップみたいな黒人が僕の胸ぐらをつかみ上げて、
『入口で突っ立ってると怪我するぜ。ぼうや。』
と、上手い日本語で侮辱してきた。
頭にきた僕は、
『チビだからってナメるなよ!筋肉バカ。』
と、言い返すと、相手は空いてる方の手で殴ろうと拳を振り上げた。
その時、奴の後ろから、
『もう、いいだろ。放してやれ。』
と、落ち着いた声が聞こえてきた。
しかし、こっちからだと奴のハゲた頭と化け物みたいに広い肩幅で後ろが見えない。