『もう、夏休み終わってもた~。』
一人で呟きながら道場に向かっていた。
最後の高校生活も残り、後わずか。
寂しさを堪えながらいつも寄っている《鶏三和》と言う、お惣菜屋に足を運び、マイブームの味噌カツ弁当を買おうとしていた。
その時、ふと横を見ると館長が弁当を大量に買っていた。
僕はすかさず、
『館長!何でここにいるんですか?』
と、声を掛けた。すると、
『アホ!でっかい声出さんでもお前がおるの知っとったわぃ!』
いきなり怒鳴られてしまった。
『お前の方がうるさいゎ!』
と、聞こえないぐらいの声で吐き捨てた。
館長は僕に弁当を持って行くよう指示をし、どっかに消えてしまった。
止む終えず、いくつもの弁当を両手一杯にぶら下げ、道場に向かった。

道場に到着すると、館長がパイプ椅子に腰を掛けて練習を見ていた。
「珍しいなぁ~。きっと明日は雨が降るぞ!」そう思いながら館長に、
『弁当持って来ましたよ!』
と、話しかけたが返事がない。