クロス・マインド

「………んっ……」

くすぐったい。

そんな感覚で目が覚めた。
ゆっくり目を開けると
掠れてよく見えない。

「あぁ……良かった。
無事だね?」

やっと視界に入ったのは
助けた狼だった。
オレの頬を舐めている。

「明るくなってきたんだね…」

ちょっとすると目が慣れてきた。
鳥の声が聞こえ始め
朝方の光を感じる。

体が重くて動かなかった。術を結構使ったから
ダメージも大きかったんだろう。

手に当たる、狼の毛を
指先で触れる。



蒼い毛並み。



そうか…





蒼い月は

これだったか。










思わず笑みが溢れた。












「すまなかった…」

「……え?」

一瞬、空耳かと思った。

「貴女は…何故、傷ついている?」

空耳じゃなかった…










喋ったのは狼。










「…原型?」

「いや、変化できる。
私は人だから…」

そうか…主は人の姿だけど
狼の姿にもなれる変化型。だから、話せるのか…

「無礼をお許しください。
体力を消耗しすぎて
元に戻れないのです。」

「いいんだよ…
それより、助かって…
良かった。」

オレは力ないまま笑った。