「そろそろ…帰らないと。」

残念そうに言うペリドットちゃん。

「そうか…残念だけど
仕方がないね。
また、あの二人いじろうね?」

「うん。」

僕達は変な約束をした。

「送るよ?」

「大丈夫。」

「そう?…じゃ、外まで。」

「ありがとう。」

廻りの連中にからかわれてる二人を置いて外に出る。ロビンはともかく
キールが振られたところは
皆、初めて見ただろう。





「あっ」


外に出ると、ペリドットちゃんが
立ち止まった。

「どうかした?」

「月が…」

視線の先には綺麗な満月。ペリドットちゃんは
じっと見つめていた。
さっきまでと全然違う…
大人びた表情。





可笑しいかな…





連れていかれると思った。


『ガルゥゥ』



チルクが路地から出てくる。
ペリドットちゃんの方へ
真っ直ぐ向かい
体を擦り合わせていた。

「珍しいね…
チルクがなつくなんて。」
「そうなの?」

こんなに人になつく
チルクも初めてだ。
自然とそうさせてるのか…
意図的か…

「ペリドットちゃんは…
狼使いじゃないよね?」

「違うよ。何か…
動物に好かれやすいみたい。」

にっこり笑って
チルクとじゃれあう。

「チルクは…ペリドットちゃんを
送りたいのかな?」

チルクがゆっくり頷く。

「でも、ロビンは…」

「大丈夫だよ。あんなんだし…
今日はうちの城に泊めておくよ。
チルクは勝手に帰れるし。」

「しろ…?」

「そう。あそこ。」

僕は街の上部に見える城を指差す。

「………まさか。
冗談上手いんだから。」

ペリドットちゃんは空笑いしてる。
僕はにっこり笑って

「あれ…言ってなかったっけ?
僕、一応この街の王なんだ。」

笑ったままペリドットちゃんは
固まっていた。