砂漠の端で横たわる女。
長く、黒い髪が
風に拐われていく。





「んんっ………」

目を開けたいのに
上手くいかない。
ゆっくり開いてみるけど
霞んで見えないし、
意識もはっきりしない。

ならす為に、数回瞬きしてみる。

何か……見える?










「砂漠……家…?
……………家!?」

目に映る物が認識出来ると
意識も一気に戻る。
反射的に勢いよく
起き上がるも

「…っ……痛いし。」

酷い頭痛と筋肉痛が
一気に襲いかかる。

頭を抱えてうずくまる。



それもそうか…
あの砂嵐の壁を
越えてきたはずだから…





「……ってか
オレ、生きてるんだ。」

空笑いしながら
痛みが引くのを待つ。

「しっかし……
まぁ、酷いかっこ。」

自分の体が砂まみれで
ボロボロなのが一目でわかった。

痛みが引くとゆっくり立ち上がり
砂を払う。