「……わかった。」

女も真剣な表情で答える。

「約束は二つ。
あのお方の敵討ちはしないこと…
それから…絶対に…
命を粗末にしないこと。」

真剣な表情で見つめ合う二人。


暫く沈黙が続くも
女は目を閉じ
ゆっくり頷く。

それを見て男に笑みが戻る。

「あのお方が…
命に変えて守ったのですから…
貴女が生きていないと
私達も、生きている意味が
ありません。」

女は悲しい表情で俯くも
男の手により顔を上げられ。

「ここは…
貴女が帰ってくる場所です。
お帰りを心待にしております。」

男は手を離すとひざまずき
女の右手を取り
甲に口付けをする。





「いってらっしゃいませ。」





「…いって…きます。」





女は名残惜しそうに
ゆっくり手を引くと、
ヒラリと背を向け走り出す。










「これで…
よかったのでしょうか?」

女の姿が見えなくなると
男はポツリ呟き夜空を見上げる。

「らしくねぇな。
そう思うなら
力強くで止めりゃぁいいのに…」

呆れた顔で木の影から出てくる
もう一人の朱髪の男。
暫し待つも返事は返ってこない。

「やれやれ…
他の奴等が聞いたら
大変な事になるぜ?
オレは手伝わないからな。」

隠れていた男は
ため息をついて
丘を降りていく。










「どうか…
どうか、見守っていて下さいよ?
貴方様でないと…
手に負えないのですから…」

男も月に祈りを捧げると
よっくりと丘を降りていった。

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