そしてその夜――――
『それはお前が悪いな』
『言われなくても分かってるって、それは』
『つーか、そこでギュッと抱きしめて、ミチしかいないんだ!お前が好きだー!信じてくれー!ってさ。何でできなかったんだよ?』
『俺はナオみたいに単純じゃねーんだよ。だいたい泣いてんのにそんなことして、ミチにやめて!とか言われてたら…俺マジへこみしてるから』
俺はナオに電話をかけて。
今日のミチとの出来事を聞いてもらっていた。
『バカじゃね?お前。ほんと女心分かってねーよな』
『はっ?バカってなんだよ』
『言葉をいくつ並べても伝わんねぇ時は伝わんねぇし。でもさ、抱きしめただけで伝わる時だってあるってことだよ。つーか普通、目の前で女が泣いてたらそうするっしょ?』
『……――』
ナオの言うことも、確かに一理あると思った。



