「手、つないでもいい?」 そろそろ戻ろうかと言いながら翔が立ち上がった時。 あたしが翔にそう言うと、ニッと笑った翔は何も言わずにそっと手をつないでくれた。 大きな翔の手が、優しく手に絡む。 「行こっか」 「うん」 そしてゆっくり、同じ歩幅で歩いてくれた。 ずっと当たり前だった翔の存在。 だけど、離れていっぱい分かったよ。 そばにいられることも。 手と手が繋がることも。 こんなにも幸せだって感じることも。 離れたからこそ、大切なことにたくさん気付けた。