せっかく出会えて。

好きになって、好きになってもらえて。

一緒にいられて。


そういうのって、
当たり前じゃねーんだぞ?



生きてるうちに出会える人間は限られてるんだ。

その中で出会えたんだよ、お前達は。

惹かれ合ったんだよ、奇跡みたいに。



だけどこんなふうにすれ違ってケンカして…

俺からしてみれば羨ましいし腹が立つ。



「思ってること、ありのままに言い合えよ!?なぁ翔」



「…うん」


「ミチもだぞ?」


「うん…」


「じゃあ…とりあえずあの橋の下で二人で話してこい」




俺はそう言うと、今いる場所からは少し離れた所にある橋の下を指差した。




「ほら、さっさと行ってこい」


「うん」



翔はそう言って。

ミチは頷いて。


二人は橋の方へ向かって歩き出していく。



大丈夫だよ、お前達なら。


今ならちゃんと、やり直しがきく。


だから心配すんな。



二人が歩いていく後ろ姿を見つめながら、俺はフッと呆れたように笑った。