「タク…なんで…」



隣にいるミチは小さな声でそう言うと、すぐに立ち上がって。

私もまた、同じように立ち上がった。



「つーか重いんですけどー!」



そう言って、歩きながら近付いてくるタク。


その両手には、パンパンになった白い袋が掴まれていた。




「あっちー」



そして、目の前まで歩いてきたタクは袋をその場にドサッと置くと、首に下げていたタオルで額の汗を拭って。

ふぅーっと呼吸を整えるように息を吐いた。




「うーわ、ぶっさいくな顔してるなミチ」


「えっ」



そして、来て早々にミチを見てそう言うと。


俯いてしまったミチに、遠慮の“え”の字もなく言葉を続けた。




「女子力ゼロ、いや、マイナスぐらいだな」



だけど……




「たっ…タクだけには言われたくないんですけど!」



すぐにミチは顔を上げて。



「ねー、マナ!タクにだけはそんなこと言われたくないよねー?」



クスッと笑いながら、私を見ていた。



「おい!何で俺だけにはなんだよ」


「えっ、だってタクだもん」


「はぁー!?」


「アハハッ」



やっぱりタクだ。

こういう時、タクのおちゃらけた感じとか、気を使わないこのテンションとか。


ミチをこんなにも笑わせることができるのは、タクじゃなきゃ…できなかったと思う。