時間は止まらない。
幸せな瞬間で、ずっと止まっていてほしくても…進んで進んで…絶対に止まってはくれないから。
「これね……翔が玄関のドアに掛けてくれてたみたいなの」
えっ?
ミチはそう言いながら、そばに置いている水色の紙袋をそっと手にした。
あ…これ、もしかして。
「それ…指輪だよね?」
「えっ!?何で知ってるの?」
「うん。タクからね…前に電話でちょっと聞いてたんだ。それ、ミチが欲しかった指輪なんでしょ?」
「うん…」
「それ買うためにさ、翔……ケンカしてる時も連絡取ってない時も…ほとんど寝ないでバイト掛け持ちしてたみたいだよ」
「えっ…」
驚いた顔をしたミチはキュッと唇を噛み締めて。
「バイト…掛け持ちしてたんだ…」
うつむきながらそう言った。



