カタン、と自転車が音を鳴らす。



「それにしてもヒドイ顔」


「えっ」



自転車を止めながら私がそう言うと、ミチは気まずそうにうつむいた。



「結構泣いたでしょ」


「……そんなにヒドイ顔してる?」


「うん、まぁまぁヤバイかな」



そう答えると、ミチはクスッと苦笑いを浮かべながらまたそこに腰をおろした。


だから私もそんなミチの隣に座り込んで。



「しっかし暑いねー」


「うん。夏だもん」


「たしかにね、夏だもんね」



どうでもいいような話から、ひとまず入った。