と……その時。
聞き慣れた着信音がズボンのポケットから聞こえてきて。
ハッとなった俺は、慌ててケータイを取り出すと、そのまますぐに電話に出た。
『はっ、はい!』
『あっ……翔?』
『…うん』
それは…ミチからの電話だった。
だから声を聞いた瞬間に…あの雨の夜を思い出してしまって。
なんかすげー手が震えてて。
電話の向こうから伝わってくる妙な空気に、俺は目を閉じたままそっと耳を澄ませた。
『あのね…聞いてもいい?』
そしてミチのそんな言葉に、うん――と返事をして。
次に出てくるミチの言葉を待った。



