そして―――― 『彼女さん、喜んでくれるといいですねっ』 そう言われながら渡された、小さな紙袋。 『……――』 俺はそれを受け取ると、何も答えることなく無愛想にその店をあとにして。 『ありがとうごさいました――』 聞こえてきたそんな声に反応することもなく、スタスタと足早に帰路についた。 そしてその帰り道…… 駅前に停めていた自転車にまたがった俺は、家に向かうこともなく、ゆっくりと自転車を走らせて。 気がつけばあの場所まで、辿りついてしまっていた。