『では刻印とか、どうされますか?無料で入れることができますけど』
刻印……か。
『あ………』
っつーか……
俺、なにやってんだろ。
『あ、刻印はいいっす』
だいたい渡せるかも分かんねーし。
これからの俺達がどうなるのかも…今は何も見えていない。
『では、少々お待ち下さいませ』
『はい――』
っつーか…カップルだらけじゃん。
店内のキラキラした指輪やネックレスを眺めている他の客達はほとんどがカップルか女の子達で。
周りを見渡しても…男一人で、しかもこんなにもシケた面で指輪を買いに来ているような奴は、俺くらいしかいなかった。



