『はい…そうですけど』
そして優花がミチにそう言葉を返すと、ハァッと小さなため息をついて。
『映画、行ってくれていいよ。あたし達もう帰るから』
そう言って…一人で駅に向かって歩きだしていく。
『ちょっと待ってよミッチー!』
そして、俺に怒っていた彼女も、ミチを追いかけるように走っていって。
遠ざかっていく二人の後ろ姿を見つめながら…
俺は重苦しいため息をついた。
なんでこうなるんだよ……
追いかけたいのに…追いかけられなくて。
今すぐ弁解したいのに…出来なかった。
きっとミチは、誤解に誤解が重なって…またその上に、大きな誤解が重なって。
多分今、俺が何を言っても…
聞く耳なんて持ってくれないと思った。



