タクシーは、家の前へ止まった。 「お金はいいから」 「ありがとう。じゃあ、さようなら」 軽く手を振り、降りようとした時、呼び止められた。 「その制服、S高校だよね?オレ、この春から、そこに赴任する教師なんだ。よろしくね」 「えっ!?教師!?」 この人、先生だったの!? 「じゃあ、おやすみ。美月ちゃん」 呆然と立ち尽くす私を残して、タクシーは走り去った。