赤道の海を抜けると“日本の海”に入る。


イワシやアジ、鯛など、食卓になじみの魚たちが目の前の大きな水槽で優雅に泳いでいた。


「まこ、ごめん。二人を見ててくれる?僕、トイレ」


そう言い置いて、俺の返事も聞かずに水月はトイレの表示がある方へと歩き出した。


「先生、トイレ?あたしも~」


楠が水月を見て、走り出した。


「雅、ごめん。あたしも行って来る」


「うん。行ってらっしゃい」


鬼頭は小さく答えると、目の前の水槽に視線を戻した。


俺はその様子を一歩離れたところで見守った。


鬼頭はデニムのジャケットに手を突っ込んで、イワシの群をじっと見つめている。



黙ってりゃ……ホントに可愛いんだけどな。


今日の鬼頭は、短い丈の半そでデニムジャケットに、ひらひらの花柄ミニスカート、白いレースをあしらったキャミソールという格好だ。


鬼頭がこんな女の子っぽい服を着てるのを見るのは初めてだ。


いつもはどっちかって言うと、ジーンズばっかだし、色も黒やグレーなどのシンプルなものが多い。


水月の趣味だろうなぁ。


なんてぼんやり思う。




それにしても…



すんなりと伸びた白い……なんて旨そうな脚。



さすが若さ。



なんて不純なこと考えてるのは、きっと俺だけだろうな。