「あ、そだ。これ、いつまでもつんですかね」
俺は薔薇の花の束をぎゅっと握った。思ったより強い力が入ってたのかな?
「いっ!!!」
思い切り棘が指に刺さった。
―――
「はい、これで大丈夫ですよ」
高田さんは俺の指に絆創膏を貼ってくれた。
みっともないな、医者のくせして。初歩的なミスするなよ、って自分に突っ込みたくなる。
「それじゃ、失礼します」
高田さんがぺこりと頭を下げて俺にくるりと背を向けた。
「あ、待って…!」
何で呼び止めたのか分からなかった。
ホント何でだろう……
高田さんが不思議そうに首を傾けている。
きっと…
俺に媚びないところが、良かったんだ。
その方が気が楽で何でも話せる気がしたから。
気を許せる気がしたから。
「お昼?食っていきません?」