俺は目だけを上にあげて、それには答えなかった。
相手をするのも面倒くさかったから。
「あたしもね……人数合わせで無理やり連れてこられたんだ。すっごいつまんない」
顔に似合わず随分はっきりと物をいう女だと思った。
でも
何だ?誘ってんのか?
すぐにそう思ったんだ。
自慢じゃないが、この頃の俺はもてた。
だけど歌南の一件以来、女に不信感があったから誰とも真剣に付き合うことはなかったんだ。
ちょっと前にあまりしつこく誘ってくる女がいたから、ためしに付き合ってみたけど、やっぱり夢中になれなくて、すぐに別れた。
そんな感じで、一生が終わっていくと思っていた。
運命の出会いなんて、寝ぼけたことを信じてたわけじゃねぇけど、それもちょっと寂しいなって考えていた。
「なんであんなゲームで盛り上がれるんだろ」
女はぽつりと呟いた。
周りの喧騒にかき消されて誰も聞いてはいなかったと思ったけど、俺の耳にははっきりと届いたんだ。



