俺は利己主義者だ。
だから別れた女が今どうしているのか―――なんて知ろうとも思わないし、知りたいとも思わなかった。
だけどそれは過去の話。
俺はやっぱり歌南に幸せになって欲しい。
あいつが幸せそうに笑っている姿を見て
俺もなんだか幸せになれる。
「それは先生が幸せだからだよ」
と楠がつまらなさそうにちょっと唇を尖らせた。
「何だよお前は幸せじゃないのか?もしかしてまた喧嘩?」
「浮気?」と鬼頭。
うぉ!お前はまた突っ込みづらいところを突くな!それもサラリと。
「違うよぉ。逆。最近明良の束縛が激しくて」
「何だよノロケかよ」
俺はタバコを指で持ち直した。
「神代先生のところに雅と遊びに行くって言ったら、保健医も来るのかー!って怒ってさぁ」
何で俺?あいつに敵視されることした覚えはねぇよ。
「あぁ、まぁそれは怒るよね」
と意味深に笑う鬼頭。
「まこって意外に鈍感だよね」と、水月も苦笑している。
なんだよ!何でみんな分かるんだよ!!



