それからも鬼頭と楠はぺちゃくちゃと俺の枕元でお喋りに興じていた。


まったく…本人が寝てるってのに、よく喋る奴らだ。


って言うか一方的に楠が喋ってるみたいだけど…


ちょっとしてから、




「まこ、来たよ~」



と、また聞き慣れた水月の声が遠くで聞こえてきた。


「先生し~!林先生寝てるところだから」


と楠が制した。ってか散々俺の枕元で喋っておいてそれはないだろ??


そう突っ込みたかったけど、瞼が重くてこじ開けられない。


何かを喋ろうと、懸命に開けようとする唇も言うことを利かない。


薬の力はすごいもんだぜ。


「ほんとだ…めずらし~。まこが人前で寝るところなんてあんまりないんだよ?だからかな。入院して眠れない日が続いてたのかも」


いや…別に人前で寝ないわけじゃありませんよ…


昨日は単に隣の連中がうるさかっただけで…って考えるのもめんどくせぇな。


「ちょうど良かった。水月ジュース買って~、喉渇いちゃった」


うぉ!鬼頭の甘えモード初めて聞いたかも!!


いっつも俺を顎で使ってる、あの鬼頭が!


キモ……


「いいよ。じゃ、売店でも行く?」


水月…お前も使われてンじゃねぇよ。


「うん♪乃亜は?」


「あたしはいい。ここで先生を眺めてる~」


お前も行って来い。俺は静かに眠りたいんだ。


心の中で突っ込みをかますも、その願いも虚しく、鬼頭と水月は楠を残して病室を出て行ってしまったようだ。