ズット一緒ニ居ラレタライイノニ
それはどうゆうつもりで……?
ってか、お前が水月と離れなけりゃ俺とも離れることはない。
安心しな。腐れ縁だぜ?
「え?何か言った、雅」
楠の声が遠くで聞こえる。
「うん。先生の寝顔ってヤバイよねって♪」鬼頭の声も遠ざかる。
「ああ~分かる♪」
ヤバイ??俺、涎でも垂らしてんのか?いびきかいてるとか??それともそれとも…
「校内オークション、先生のお陰で繁盛してるよ♪こないだ先生のセクシーな寝顔で最終高値、一枚5,000でセリ落とされたよ♪」
…………あっそ…
「へぇ~それはすっごい!」
「ま、黙ってればそこそこイケメンだよね」
黙ってれば…って…………
「え~そぉ?黙ってなくてもカッコいいよ?」
楠っ!お前いいやつだな!!今度なんかうまいもん作ってやるよ!
「カッコいいけどさぁ、意外にも恋愛体質だよね。運命の相手とか信じてそう」
前言撤回!
うっせぇな楠!信じて何が悪い!!
俺は千夏に運命感じたんだよ!フラれたけど……
「でもあたし…そういうの好きだな」
鬼頭がのんびり言う。
あいつは……
今、どんな表情して、どんなことを思ってそんなことを言ったのだろう…
「あたしも~。何かいいよね。ああゆういかにも遊んでいそうな人が、案外一途だとちょっとドキっとするもん。
愛される人は幸せだよね」
幸せ―――か……
千夏はそれでも辛かったから、俺と別れたんだ……いくら言われても意味がないよ…
「そうゆうのとちょっと違う」
鬼頭の軽やかだけど、どこか重みのある独特な声が俺の耳に心地よくこだました。
「先生は……」
一途とかじゃなくて……大切な人を、とことん守り抜く人なんだよ。
恋愛に限らず……
鬼頭の言葉は、まるで魔法にかけられた眠りの森の美女、オーロラ姫に口付けにきた王子よりも絶大な効果のあるものだった。



