青い…というよりも、むしろ真っ白。
鬼頭の顔色は蒼白だった。
前髪の隙間から脂汗が浮かんでいるのが見えた。
単に、味噌汁の匂いに反応したのではなさそうだった。
「おい、大丈夫か?お前なんか変なもん食った?」
夏だからな。食あたりかもしれん。
「大丈夫。ちょっと味噌汁の匂いにやられただけ」
鬼頭はしばしばと目をまばたいた。形の良い目尻にうっすら涙が溜まっている。
「熱は…ないようだな。風邪じゃねぇか」
念のため、額に手を当て体温を確認する。
鬼頭の額は真夏だというのに、思いのほか冷めていた。
「食あたりの薬、あったから飲んどけよ」
「や・だ」
鬼頭はきっぱりと言うと、ぷいと顔を背けてソファの影へと行ってしまった。
「はぁ?俺様の親切が受け取れねぇってのか!」
「薬、嫌い」
ソファから顔を出すと、鬼頭はあかんべぇをして舌を出す。
もうヤダ。
こんなクソガキと一緒なのは。
なるほど、水月が俺を信用する理由が今更分かった。



