ギシッと音を立てて、俺はベッドに上がると、鬼頭の上に乗りかかった。
鬼頭が閉じていた目をぱちっと開ける。
「何だ、寝てたんじゃねぇのか?」
「今起きた。何?」
暗いのと、口元が隠されてるので鬼頭の表情が読めない。
「いや。よく見たらお前可愛い顔してるな~って思って」
俺はにこにこ笑って、メガネを外した。
「何でメガネ、外すの?」
鬼頭が訝しげに目を細める。
両手を布団からちょっと覗かせると、顔の前できゅっと握った。
何だ。
やっぱり警戒してるんじゃねぇか。
そう思うと、益々苛めたくなった。
「何ってナニだよ」
俺はにやりと笑って鬼頭の顔に近づいた。
「先生、上段回し蹴りって知ってる?」
何を思ったのか、鬼頭は布団を引き上げながらにこにこしながら聞いてきた。
「あ?空手の?それが何だ?」
「水月の得意技」



