「「誰がこんなヤツと!」」


俺と鬼頭の言葉が被った。


「ほら☆仲いいじゃ~ん。だめだよ雅、浮気しちゃぁ。先生もね」


浮気……?


「ありえねぇ」

「こっちこそお断りだよ」


ムッと顔をしかめてまたも俺と鬼頭が顔を合わせた。


「でもさぁ雅と先生ってどことなく似てるよね。似たもの同士だと合わないって言うよね」


合わないってとこには同意するが、俺と鬼頭が似てるなんて勘弁してくれ。


俺はここまで性格がひん曲がってないし、策略家でもないし、ついでに言うと図々しくもない。


「だからかな……正反対なタイプの神代先生に二人がなつくのは」



あぁ、それには同意見だな。


全く持ってその通り…


俺はアイスコーヒーを一口飲んだ。


グサッ


隣から腕が伸びてきて、鬼頭が俺のガトーショコラにフォークを差す音だった。


「何するんだよ!」


俺は思わず怒鳴った。


鬼頭はつんと顔を逸らし、俺のガトーショコラをフォークごと口に入れた。


「おまっ!俺のケーキを!!お前は自分の分があんだろ!?」


「いらない。先生にあげる」


「てんめぇ!!」


俺はわなわなと震えた。


楠はそんな俺らを見てくすくす笑いを漏らす。


「先生、雅がそんなことするのってきっと先生ぐらいだよ?雅も先生のこと好きなんだね」


「はぁ!?」


俺は思わず素っ頓狂な声を上げて楠を睨んだ。