頼んだアイスコーヒーが運ばれてくると、俺は切り出した。


「悪いな。急に呼び出して」


「いいよ。何か話があるんでしょ?雅や姉さんに聞かれたくない話が」


鋭いな。って言うか分かるか。


普通の話だったら電話で済ませられるしな。


「鬼頭をさ……今日病院に連れてった」


言い出しにくそうに頭を掻いて、俺はアイスコーヒーに口を付けた。


「……病院?やっぱりどこか悪いの?風邪?」


水月は酷く心配そうに眉を寄せた。


近くにいられないもどかしさだろうな。






「病院てのは、産婦人科」





俺は目を上げると、真正面からじっと水月を見据えた。



こいつは……


どんな反応をするだろう。


どんな表情をするだろう。


困惑?不安?歓喜?――――


何でもいいや。


水月は目を開いて唇をきゅっと結んだ。


その表情から感情が読み取れなかった。