俺の方が早く店に着いたようだ。 時間が遅いだけあって、閑散としている。 ちょうど良かった。これからあまり人に聞かれたくない話をするから。 テーブルに落ち着くと俺はアイスコーヒーを頼んだ。 タバコを吹かせて、待ち人を待つ。 「いらっしゃいませ~」 店員の明るい声が聞こえて、俺は顔をあげた。 「お待たせ」 何も知らない水月が相変わらずの笑顔で立っていた。