こんなの初めてだよ……。
顔も名前も知らない、しかも男子と………ん…??
「ね、ねぇ、名前は…っ」
「河上蒼空<カワカミソラ>!!」
「えっ??」
「そら、だよ。俺の名前」
「河上…くん??」
「って、なんでそっちなの…」
「い、いえっ、何と無く…」
「別に同じ1年なんだからいいっしょ??…で、そっちは??」
「わ、私は季藤咲春っていいます」
「咲春ね。よろしく!!あとその敬語やめろ」
「な、なんでですか??」
「いーからやめろ!!いいな??」
「う…。はぁい」
な、なんか…さっきはただの元気が良くて変な男子って思ってたけど、意外と強引なんだな……。
もし高校に入学してくる男子がみんな河上くんみたいな人だったら……。
どうしよう、そんなの絶対無理だよ!!
みんなの言いなりだけにはなりたくないな……。
男子に少し不安を抱きつつ、河上くんと他愛もない話をしていると、いつの間にか学校に着いてしまった。
時間とはこんなに早く過ぎてしまうものなのか、と初めて実感した気がした。

