「うーん。まぁ相原さん女の子だしな。不安がるのも分かる。でもほら、考えてみ?今日までの努力を。」

軽く目を閉じて、先生を今日までを少し振り返ってみた。

「頑張った…自分は裏切らない?」
「受かってるかどうかは、俺には何とも言えない。無責任な事は言いたくないから…な?でも相原さんは頑張ったんだ。入試の結果は合格が全てじゃない。」

先生…そうだよね。
落ち込んだって不安がったって仕方ないよね。
だってもうできる限りの事、やってきちゃったもん。
後は…待つだけ。

今日は静かな帰り道だった。
中川先生と私の足音だけがする。
空を見上げると…今日も星は綺麗だった。
オリオン座が、また少し位置をかえて輝いていた。

「家…ここだよな?」
「はい…。」
「じゃっ。」

いつも通り帰ろうとした先生を、私は呼び止めた。

「…!やだ…。嫌です。帰りたくないんです。」

思わず口から出た本音。

「えっ、どうした?相原さんっ…。」

びっくりだよねこんなの。
私も本当びっくりだよ。
私は今の心の内を全て、中川先生に話した。
沢山先生にだって言ってない事も。
家庭内のちょっとしたごたごた。
学校でのいじめ。
全部全部…。


「そうか…。うん、でもさ、俺もそんなんだった。やっぱり悪い時期ってのはあるんだ。」
「はい。」

先生は自分が私の時くらいの話をしてくれた。
先生も…色々大変だったんだね。

「それで2つ。相原さんに言っておきたい事がある。1つ、相原さんは生まれてきて良かった。今は確かによくない状況っぽいし、そら自分生まれてこないのが良かったのかと思うだろうけど…そうじゃない。」

先生は強く言いきった。

「…はい。」
「2つ目。第3の選択肢だけは駄目ですよ?」